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しょくよくのあき、の なぞを、データからかんがえてみた

赤やオレンジに色づいた落ち葉の上に読みかけの本があり、そのかたわらにホットココアが入ったマグカップが置かれている。赤と緑のタータンチェック柄の暖かそうなひざかけ が マグカップの近くにかけられている。

昔から「食欲の秋」と言いますが、本当に秋になると食欲は増すのでしょうか?
私自身も、秋になると栗、さつまいも、きのこ、さんま……と、美味しいものに次々と目がいってしまうタイプです(笑)。
でも、なぜ秋になると食べたくなるのか。調べてみると、どうやら「気のせい」だけではなさそうです。

 

日照時間が減ると、食欲を抑える力も弱くなる?

ひとつ注目したいのが、神経伝達物質のセロトニンです。
セロトニンは気分を安定させるだけでなく、食欲の調節にも関わっています。ところが、秋から冬にかけてはセロトニンの働きが低下する傾向が報告されています。

 

セロトニン分泌量の季節変動  というタイトルの棒グラフ 春から夏にかけてはセロトニン分泌量が増加しているが、夏以降、秋から冬にかけて急激に分泌量が低下している 
出典:Effect of sunlight and season on serotonin turnover in the brain. (Lambert G.W., Lancet 2002 1840-1842)より作成

 

ではこの時期なぜセロトニンは低下してしまうのでしょうか。

データで説明できる理由を調査すると・・・
その理由のひとつは「日光」。
秋になると昼の時間が短くなり、日照時間も減ってきます。セロトニンは日光を浴びることで活性化されるため、秋冬にはその働きが弱まりやすいと考えられています。

昼間の時間(2023年東京)というタイトルの折れ線グラフ 7月から11月にかけて右肩下がりに昼間の時間が低下している
出典:国立天文台ホームページ(https://www.nao.ac.jp/)日の出・日の入り時刻データより作成
日照時間の平均 2021年から2023年 東京というタイトルの棒グラフ 8月から9月にかけて急激に日照時間が低下している
出典:気象庁ホームページ(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/info/coment.html)のデータより作成

 

食欲の秋の謎をこれらのデータに基づいて考察してみると

  1. 日照時間が短くなり、気分を安定させ食欲をおさえるセロトニンが低下して
  2. 「なんとなく気分が落ち着かない」という気持ちになり
  3. 気分を落ち着けようとして「何か食べよう」と、おいしそうなものに手が伸びる

このような変化が多くの人の心とからだにおきているのかもしれない、ということがひとつの推察として浮かび上がります。

 

寒くなると「エネルギーを補給せよ!」スイッチが入る?

もうひとつは気温の低下です。
寒くなると、からだは体温を保つために熱をつくろうとします。昔の研究では、秋から冬にかけて基礎代謝が高くなる季節変動も示されていました。

基礎代謝の季節変動 1954年の文献よりというタイトルの折れ線グラフ 夏以降、秋から冬にかけて基礎代謝が大きく上昇する折れ線グラフになっている
出典:藤本ら.1954;小池五郎 「やさしい栄養学」(女子栄養大学出版部)より作成

 

このように寒くなることでエネルギーを多く使えば、お腹がすく。

これは理にかなっています。

ただし、この基礎代謝変動のデータは70年以上も前のものです。今の私たちはエアコンや暖房の効いた環境で過ごす時間が長いため、昔ほど寒さによる代謝アップは大きくない可能性があります。
そこで私がちょっと気になるのが、
「代謝はそれほど上がっていないのに、“寒いから食べよう”という食欲スイッチだけは昔のままなのでは?」ということ。
もしそうなら、現代人にとって秋冬はちょっと危険な季節ですよね(笑)。

 

そもそも秋は、美味しいものが多すぎる

ほかにも、食欲の秋に関しては

  •  夏の暑さで落ちていた食欲が涼しくなって戻る
  • 秋は旬の食べ物が豊富
  • 冬に備えてエネルギーを蓄えようとする生物的な反応

など、いろいろな説があります。

深緑色でつやつやしたおいしそうなカボチャの写真。カボチャの手前にはニンジンやジャガイモも見える
画像:Unsplashより

 

こうして並べてみると、

「秋に食べたくなるのは、生き物としてわりと自然なことなのね」

と、つい安心してしまいます。

が、しかーし!
自然な反応だからといって、欲望のままに食べ続けていたら、秋冬の終わりには別人になってしまうかもしれません(笑)。
そこで次回は栄養士の立場から、「食欲の秋」を無理なく、ストレス少なく乗り切るコツをご紹介したいと思います。

「美味しい秋」は楽しみたい。
でも「秋冬ポッチャリ化」はできれば避けたい。
そんな皆さん、次回をお楽しみに!

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