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清水建設が開発する、もうひとつの「えーあいスーツケース」があるって知ってた?

シミズばんえーあいスーツケースの写真。スーツケースのようにタイヤやハンドルがついていますが、コンソーシアム版のように市販のスーツケースにセンサーやモータを搭載しているのではなく、ロボット感あふれる風貌。横からみるとめと口のようになっていて、顔のようでかわいらしいです

一般社団法人じせだい移動支援技術開発コンソーシアムが中心となって開発している「えーあいスーツケース」は、目が見えない、見えづらいひとの移動をサポートする目的で開発している自律走行型ナビゲーションロボットです。じつはこの「えーあいスーツケース」、同コンソーシアムが開発しているもののほかにもうひとつあるのをご存知でしょうか。

それが、同コンソーシアムのせいかいいんである清水建設が開発する「シミズばんえーあいスーツケース」です。
清水建設はえーあいスーツケースのなかでも「ロボット技術、そくい」や「ナビゲーション」の部分を主に担当しています。えーあいスーツケースはもともとアメリカのカーネギーメロン大学で開発されていましたが、国をまたいでの部品や機材の持ち込みのハードルが高いことが課題のひとつになっていたそう。

そこで、日本でも試作ができるようにと同社が独自に開発したのが「シミズばんえーあいスーツケース(通称、シミズばん)」のはじまりでした。なお、シミズばんの製作過程の中で応用できる機能は、同コンソーシアムで製作しているえーあいスーツケース(通称、コンソーシアム版)に移植できるような体制をとっています。そういった経緯もあり、シミズばんはコンソーシアム版とは見た目や機能が異なります。

 

過去にも高精度音声ナビゲーション・システムを開発

建設会社がなぜ視覚障害者用のナビゲーションロボットをつくっているのか、疑問に思った人も多いのではないでしょうか。

実は同社ではこれまでにも、三井不動産、日本アイ・ビー・エムと共同で、視覚障害者用に高精度音声ナビゲーション・システム「インクルーシブ・ナビ」を開発し、三井不動産が運営する都心商業施設「これど室町1・2・3」に至る計約20,000平方メートルでサービスを実装しています。

インクルーシブナビの音声対話による店舗検索からナビゲーションの流れの例。インクルーシブナビはスマートフォン用アプリで、iPhone、Androidの両方で利用可能。スマートフォンにあらかじめダウンロードしたナビゲーション用のアプリを起動し、対話やメニュー検索などにより目的地を設定、目的地が決まると音声と地図によるナビゲーションが始まり、一般歩行者に対しては最短経路、車いす利用者やベビーカー利用者に対しては階段や段差のない経路を選定し、地図上に現在位置を示しながら、目的地に辿り着くまでに必要な情報を音声でほぼリアルタイムに提供します。視覚障害者に対しては、例えば「9メートル進み、正面のエレベーターを使って3階へ上がる」「扉の右に呼び出しボタン。点字有り」など、移動に必要とされるきめ細かな情報を音声で提供します
「インクルーシブ・ナビ」

 

今回の「えーあいスーツケース」プロジェクトにおいて、同社では内藤かくやさん、木村駿介さん、中西れいなさんの20代から30代の若手3名が中心となって担当しています。

建設会社とえーあいスーツケースとの関連性について尋ねると「今回の開発で習得した技術は、目的の場所にロボットを移動させるという意味で、建設現場での資材運びなどにも応用できると考えています。また、新しい技術やロボットが入ってきたときにそれらを動かすための、いわゆる“環境”をつくることが清水建設の役割。ロボットだけが頑張るには限界があるので、建物側もロボットに歩み寄る必要があり、建築的にもアプローチの方法があると考えています(内藤さん)」とのこと。

ロボットの動き回る環境をととのえる、という建設会社ならではの視点が光ります。

 

実際に体験しました

今回は特別に現在開発中のシミズばんえーあいスーツケースを体験させてもらいました。コンソーシアム版はスーツケースに入っていますが、シミズばんは姿かたちは似ているものの、スーツケースには入っておらず、いかにもロボットという見た目です。

横からみたシミズばんエーアイスーツケースの写真。ハンドルもあり、シルエットはスーツケースですが、スーツケースに入っていないためロボット感があります
見た目から大きくことなりました

コンソーシアム版との大きな違いは、大きくわけて以下の3つ。

 

「にじげんらいだー」

ひとつめは、自動走行に必要な、ロボット周囲360度のデータを読み込むために「にじげんらいだー」を本体に2つ設置していること。低い位置の障害物やユーザーの足の位置を検出し、うまく避けて誘導してくれる、えーあいスーツケースの目にあたる部分です。

本体下部のクローズアップ写真。タイヤに近い部分ににじげんらいだーがついています
足元にたいかくせんじょうに2つ設置されている黒い個体が「にじげんらいだー」

 

「りきかくせんさー」

ハンドルにかけられた前後左右の力の方向がわかり、目的地を選択できる「りきかくせんさー」もついています。コンソーシアム版はハンドル部分のボタンがゲームのコントローラーのような形状になっていましたが、シミズばんではハンドルボタンは大スイッチと小スイッチの2つ、下には振動デバイスがついていてシンプルです。実際に動かしてみると、かなり直感的に操作できました。

ハンドル部分のクローズアップ写真。親指で押せる部分に赤くてまるいボタンがひとつついていて、スタート、ストップができます
ハンドルをもって横に少し倒すと、目的地候補を音声で読み上げてくれます

 

コンソーシアム版は現時点では“自律走行モード”のみですが、シミズばんには“手動走行モード”もあり、ハンドル部分はボタンを押しているときだけ動くようにできていました。

また、ハンドルに前後に力をかけると、りきかくせんさーがはたらいて、歩行速度をカスタマイズできるのも特徴。自分の歩く早さにあわせて速度を調整でき、歩きやすかったです。

 

「スピーカー」

コンソーシアム版はスマートフォン経由でガイド音声が流れますが、シミズばんは本体のスピーカーから直接アナウンスが流れます。周囲に音声が聞こえますが、ネックスピーカーやイヤホンが不要なぶん、シンプルです。

余談ですがスピーカーから流れる女の子の声がとってもかわいらしい声で、「おしの声で誘導してもらえたら最高…」と思ってしまったのはここだけの話です。

 

かわいさと親しみやすさと、たのもしさと

コンソーシアム版は見た目は一般的なスーツケース、音声はネックスピーカーなどから流せるので周囲に溶け込みやすい一方で、シミズばんは見た目がロボット、音声は本体から流れるため、一発でロボットと歩いていることがわかり、それぞれに良さがありました。コンソーシアム版と同様にシミズばんもメガネをはずして体験しましたが、障害物にぶつかることなく、誘導がスムーズで安心感があります。

また、どんどん先導して誘導してくれる「コンソーシアム版」に対して、「シミズばん」はヘイソウしてくれるのが印象的でした。もし例えるとすれば、コンソーシアム版がお兄さんやお姉さん、シミズばんは弟、妹のようなイメージです。どちらも愛嬌があってかわいいのですが、同時に”頼もしい相棒感”も併せ持っているという点は共通していました。

 

今後の課題

今後は自律走行の安定性のアップデートや、走行しづらい場所での対応の改善といった技術面の課題を改善し、まずは年内の屋内版の走行実験をめざしているそう。シミズばんえーあいスーツケースの今後が楽しみです。

 

清水建設えーあいスーツケース詳細は以下URLから

音声ナビゲーションからえーあいスーツケースへ

https://www.shimztechnonews.com/topics/baton/2022/2022-01.html

 

視覚障がい者に移動の自由を 粘り強く奮闘を続ける技術者たち
https://www.shimztechnonews.com/topics/engineer/2022/2022-03.html

 

視覚障害者移動支援ロボット「エーアイスーツケース」

https://www.shimztechnonews.com/hotTopics/news/2022/2022-03.html

 

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本文ここまで 

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