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栃木の隠れためいか、ぶへいまんじゅう

ぶへいまんじゅうと、ぶへいまんじゅうを複数買ったときのつつみがみの写真

わたしのなかの、2大おまんじゅう

ふと食べたくなる味がある。

手土産とかお取り寄せ候補にはならないし、いつもすっかり忘れてしまうけれど、実家に帰るとよく食べているおまんじゅう。わたしのなかでおまんじゅうと言えば、昨年までばーちゃんが毎年つくってくれていた「炭酸まんじゅう」と、今回紹介する「ぶへいまんじゅう」。このふたつだけ。

ばーちゃんが作ってくれた炭酸まんじゅうは、黄色っぽくて、ドーム型でふっくらしていて、皮が厚くて、なかには手作りのあんこがぎゅっと詰まっていた。おそらくこちらのほうが一般的なおまんじゅうに近いかたちだろう。

一方のぶへいまんじゅうはというと、黒くてぺったんこで、しっとりしていて、皮が薄い。文字で表してみてもまるで反対のおまんじゅうだけど、どちらも素朴で優しい味がする。同じカテゴリーでふたつも候補があれば十分だと思っていたけれど、炭酸まんじゅうは昨年、幻の味となってしまった。

もの忘れが多くなっても「孫に炭酸まんじゅうをつくる」と予定まで立てていたのに、それも忘れてしまったのか、ばーちゃんは遠くへ行ってしまった。そんなこともあり、私のなかのまんじゅうはいつのまにか「ぶへいまんじゅう」だけとなってしまった。

 

ぶへいまんじゅう5このしゃしん
ばーちゃんの法事のとき、親がおみやげに持たせてくれた

 

しにせわがしやのぶへいまんじゅう

先にも書いたとおり、ある意味まんじゅうらしくないビジュアルのぶへいまんじゅうは、「和田菓子店」という100年以上続く、和菓子の老舗で買える栃木県日光市の隠れた銘菓。

はじめて見る人はきっと「これはおまんじゅうなの?」と疑いたくなる見た目。ぺったんこだし。ひとつ85円で買える真っ黒なおまんじゅうは、うちのようにまとめて何十個も大人買いする人が多い。たまに帰省して実家にこれがあると、ちょっとテンションがあがるお菓子。そんな位置づけ。

 

消費期限3日

日光市のホームページにも載っているけれど、知る人ぞ知る銘菓。その秘密はもしかしたらこの消費期限にあるのかもしれないと思っている。おまんじゅうだから仕方ないのかもしれないけれど、とにかく消費期限が短い。原材料を見ても、小麦粉(国内製造)、小豆、赤糖(原料糖・糖蜜)、膨張剤だけ。保存料も使っていないという。シンプルだけど、だからこそ安心して食べられる。

 

ほうそうしのシールに書かれているげんざいりょうめいなど。名称わなまがしで、2022年11月12日に購入し、消費期限は2022年11月14日。保存方法は10どいかの冷蔵庫で保存と記載されています
複数個買うと紙につつんでもらえる。この渋さがまたいい

 

おまんじゅうのうしろ、中央に1か所だけとめられたビニールの包みをそっとはずすと、薄くてしっとりとした皮がお目見え。勢いよくビニールをはがすと、おまんじゅうの皮ごとはがれてしまいそうになる。それはまるで肉まんが台紙にくっつくときのように。それくらい繊細なおまんじゅう。

両手で持って、おっかく…いや、折って割ると、きれいに割れるくらいの薄さ。口に含むと、しっとりとした上品な甘さの薄皮と、繊細なこしあんの風味がふわっと口のなかに広がる。くどくない甘さだからか、いつも気づいたら2個くらいはぺろりと食べられてしまうから不思議。こくとうむしぱんが好きな人は、きっと好きな味だと思う。

 

ぶへいまんじゅうをふたつに割った断面の写真。全体的に黒い
ちょっとだけレンジであっためるとおいしい

 

お店のホームページも探したけれど、見当たらない。日光市のホームページの記載によると、「餡は、北海道産の小豆を使用して自取りし、素材を厳選し、独特の製法で風味豊かに作り上げました」とある。丁寧に作られているのは、ひと口食べただけでもすぐわかる。ひと息つきたくなる、ホッとする味。

特別な日に食べるというよりは、どちらかというと庶民的な「いつもの茶菓子」枠。だからこそ、ある日ふと食べたくなる。素朴で、しっかりと地元の人の胃袋とハートをつかんで離さない、生活のなかに浸透している味。ずっとずっと続いてほしい、地元の味がここにある。栃木の隠れた銘菓。日光に来ることがあればぜひ。

 

わたしはいま、この原稿用に写真を撮るという理由でもう一つ食べるか迷っている。

 

和田菓子店
住所・日光市小林2690
電話番号・0288-26-8054

 

日光市のホームページ内「和田菓子店のぶへいまんじゅう」ページURLは以下から
https://www.city.nikko.lg.jp/hisho/gyousei/shisei/nikko_brand/buheimanjyuu.html

 

本文ここまで

 

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