このサイトはテキストサイズとハイケイショクを選ぶことができます。

また、クッキーを使用して設定を一定期間、保存しています。

拒否した場合は、設定が保存されません。

設定はパソコンの場合はページはじめに変更メニューがあります。

スマートフォンの場合はメニューボタンから変更できます。

絵画の説明はできる?AI音声アシスタントアプリを使って視覚障害当事者と美術館に行ってみたら

作品の前でエンヴィをつかって鑑賞している様子をうつした写真。同伴の女性がアプリで作品を写し、イヤホンをしたしらとりさんがその描写を聞いています。なお、展示室の中では許可を得て撮影しています

視覚障害当事者の白鳥環(しらとりたまき)さんとAI(エーアイ)音声アシスタントアプリのEMVI(エンヴィ)について話していたときのこと。「美術館での作品鑑賞にこのアプリを使えないか」という話になりました。

なんでも、当事者になる前から美術鑑賞が好きで、現在もガイドヘルパーさんと一緒に美術館に行くこともあるそう。前回アプリを利用した際、写真の描写が想像以上に細かく丁寧なので、これを美術館のガイドとして利用できるのではないか、とのことでした。

 

オディロン・ルドン展へ

見えにくくなる前から、画集を持っていたほど好きだったという、19世紀後期から20世紀初期にかけて活動したフランスの画家、オディロン・ルドンの企画展が東京のパナソニック汐留美術館で開催されているのでいってきました。

 

事前に美術館に確認しておいたほうが確実です

アプリを試すにあたり、まずは美術館へ確認をしました。

写真撮影が許可されている美術館であっても、企画展の場合などは著作権の関係から撮影ができないこともあるそう。そのため事前に美術館に許可をもらってから訪れることをおすすめします。

EMVI(エンヴィ)は撮影した写真が保存されない仕組みということもあり使用許可をもらえましたが、このあたりは美術館や展示されているもの、使用するアプリによっても対応が変わりそうです。

今回は事前に美術館から許可をいただいたうえ、当日はイヤホンを着用して音声が漏れないよう準備をして向かいました。

 

実際、どうだった?

そして、パナソニック汐留美術館へ。

平日は予約不要でしたが、実際に行ってみるとたくさんの人。人気の高さがうかがえます。アプリを開いて作品を写し、イヤホンをとおして説明を聞く、という手順で鑑賞しました。

館内のルオー・ギャラリーでは、パナソニック汐留美術館が所蔵する、ジョルジュ・ルオー (1871年から1958年) の作品がさまざまな切り口で紹介されています。

今回は、企画展を開催中のオディロン・ルドン (1840年から1916年) とルオーとの関係に着目した展示が行われていました。

 

作品の前でエンヴィをつかって鑑賞している様子をうつした写真。同伴の女性がアプリで作品を写し、しらとりさんがその描写をアプリをとおして聞くスタイルです
展示室の中では許可を得て撮影しています

 

白鳥(しらとり)さん:実際のところ、スラスラ説明する作品とそうでない作品がありました。今回鑑賞したオディロン・ルドンの作品は抽象的なものも多く、繊細な描写が得意とされるこのアプリでも難易度が高かったのだと思います。

はじめはアプリの操作も自分でおこなっていましたが、途中から同伴している人にEMVI(エンヴィ)で作品を写してもらい、わたしはイヤホンをして読み上げられるのを聞きながら鑑賞しました。

作品によっては何度試してもうまく読み取れないものもあり、そのような作品は同伴している人の説明を聞きながら鑑賞しました。とはいえ、アプリでは人間でも気づかなかったような描写を説明していたこともあったので、アプリの精度が低いということではないと思います。

 

同伴者として参加して

わたしは今回、同伴者として参加しました。

今回展示されていたオディロン・ルドンの作品は、木炭画(もくたんが)や石版画、パステルや油彩など画材もさまざま。

作風も神秘的とも奇怪ともいえる幻想的なイメージのほか、花や神話、宗教、人物などを主題とする作品まで多岐にわたっていたため、アプリでも異なる作風の作品を試すことができました。

 

展示されていた「くも」のポストカードを手で持った写真。ミュージアムショップで購入しました。リトグラフで描かれた作品です
「蜘蛛(くも)」

 

点数が多かったためすべての作品を試すことはできませんでしたが、肌感として、絵画作品でも輪郭がはっきりしているもののほうがしっかり読み上げやすい印象でした。

また、構図がわかりやすい作品は抽象度の高いものでもしっかり説明していたし、視覚的に見えたものとほとんど合っていました。その精度の高さに驚きました。

 

展示されていた「神秘的な対話」のポストカードを手で持った写真。ミュージアムショップで購入しました。こちらは油彩です。「くも」が白黒なのに対し、こちらは鮮やかな色合いが特徴的です
「神秘的な対話」

 

一方、アプリが途中で疲れてしまったのか、作品を写してもいきなり音楽の話を始めることもあり、そのあたりは改善の余地がありそうです。

 

白鳥(しらとり)さん:今回は作品を写しても作者や作品の名前を答えることはなく、淡々と何が描写されているかの説明に徹していました。

しかし以前、フェルメールの「真珠の耳飾り(みみかざり)の少女」がプリントされたシャツをこのアプリで写したときは、これが真珠の耳飾り(みみかざり)の少女で、フェルメールの作品で、彼がオランダの画家であることをスラスラ説明していたのです。

現状はアプリだけに頼った鑑賞はやや難しいと思いましたが、AI(エーアイ)が搭載されているので、数年後にはもっとパワーアップしているのだろうな、と思うとたのしみです。

今後に期待していきたいですね。

 

概要

「PARALLEL MODE: オディロン・ルドン ―光の夢、影の輝き」

展覧会会期:2025年4月12日から 6月22日

会場:パナソニック汐留美術館

開館時間 午前10時から午後6時(入館は午後5時30分まで)

※6月6日、6月20日、6月21日は夜間開館、午後8時まで開館(入館は午後7時30分まで)

休館日:水曜日(ただし6月18日は開館)

入館料:一般は1,300円、65歳以上は1,200円、大学生・高校生は800円、中学生以下は無料

※障害者手帳をご提示のかた、および付き添いのかた1人まで無料で入館できます。

 

「パナソニック汐留美術館」ホームページURLは以下から

https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/25/250412/

 

※展示室の中では許可を得て撮影しています

※使用したアプリは2025年5月時点のものです

 

本文ここまで

記事一覧

絵画の説明はできる?AI音声アシスタントアプリを使って視覚障害当事者と美術館に行ってみたら

せんまいからホカホカのごはんまでこれひとつ!スリーコインズの「一人炊き用炊飯マグ」

TOPに戻る