山形のローカルスーパー、エンドーのげそ天山形のローカルスーパー、エンドーのげそ天

山形県にある、とある有名スーパーをご存じでしょうか。
「エンドー」というグッドデザイン賞を達成したローカルスーパー。ものすごく気になっていたのです。おいしいものに目がない友人と、ほぼ始発の新幹線に乗って東京から山形まで向かいました。
平日の朝に、朝イチの新幹線に乗ってローカルスーパーに向かうふたり。この日の目当てはこのお店の看板メニューの「げそ天」です。お昼ご飯をスーパーで食べるために新幹線で山形までって、最高にぜいたくじゃないですか?
本当にいっちゃった
静かな駅前を数分歩くと「エンドー」という看板。目的地のローカルスーパーに到着です。
広々とした店内には、お惣菜などがずらり。遊びごころたっぷりなデザインのTシャツやオリジナルグッズが並びます。

そして、目的のげそ天。
持ち帰りもできるけれど、できたてを食べたくて併設された飲食スペースで食事といっしょにいただきました。

あったかくて揚げたてでサクサク。ぷりっとしたいかと、サクサクしたころも。いくらでも食べられるし、胃袋がひとつしかないのを惜しみたくなるくらいのおいしさでした。

飲食スペースに集まる、おそらくご近所のかたたちと思われる人の楽しそうな声がやさしいBGMになって、おいしさに拍車がかかります。外は寒いけど、このお店のなかはただただあたたかくて、初めて訪れたのに懐かしい感じがして、お店の人も優しくて。
あまりにも居心地がよくて、ふたりでずっと居座ってしまったほど。ゆっくりと、穏やかな時間が流れるひとときでした。
あの日のげそ天を、もう一度
あれから2年。まるで先週いってきたかのように書いていましたが、この原稿、2年も熟成してしまいました。お店のスタンプカードが1日でいっぱいになるくらい買い物したのに。あのお店で購入したTシャツと瓶ビールはその後アメリカ出張に持っていき、カリフォルニアで堪能しました。
どうして今書いているかというと、なぜか今になって、ふと「あのげそ天を食べたい」となったのです。まるで魔法がかかったかのように。

ということで、オンラインで再購入しました。げそ天をオンライン購入できるなんて、なんて便利な世の中なのでしょう。
遊びごころたっぷりのイラストが描かれた、透明なプラスチックの袋。「冷凍げそ天セット」というブラック、ピンク、レモンの3種類が200グラムずつ入ったものを購入しました。
揚げたてを超冷風(ちょうれいふう)で急速冷凍して、おいしさをそのまま閉じ込めているそう。
届いたダンボールの箱をあけると、ひとつひとつ丁寧に新聞にくるまれていました。このローカル感がいい。この、くるまれている新聞を読むのが楽しみな人、きっとわたしだけではないはず。
オーブン200度で10分焼くと、お店の味が80%くらい再現できるようです。
さっそくそのままいただきました。レモンは食感が軽いから、ごはんのおともでもおやつとしてもいける、万能選手。あと味ほんのりレモン。

ピンクは、パキッとした赤いカラーからしょっぱくてピリッとした味を想像していたけれど、思ったよりもあっさりした、後味が紅しょうがのげそ天でした。お弁当に入っていたら間違いなくテンションあがりそう。

漆黒のげそ天、ブラックは黒い色が気にならないくらいのおいしさ。オーブンで焼いてから、ちょっと時間をおいてカリカリになった衣のげそ天もまた、ひとあじ違って絶品でした。

友人と山形のお店を訪れたあの時期は調子が悪くて外にも出られず、サナギのような日々が続いていましたが、じんわりと芯からあたたまっていくようなあの日のことだけは今でも鮮明に覚えています。その後、嘘のようにリチャージされて今にいたります。ひょっとしたら、あの店と、げそ天、そして友人のおかげかもしれません。
思い出ごと急速冷凍されたかのように、あの日のお店の雰囲気やお客さんの笑い声、あたたかい空間が味とともによみがえります。やっぱりあの空間で食べた味にはかなわないけれど、それでもあの日を思いだしながらほおばるげそ天は、心のなかに優しくしみこんでいく感じがしました。
また、ふっと魔法にかかったかのように山形に行きたくなる日がくる予感がします。
ごちそうさまでした!
エンドー
〒990-0811 山形県山形市長町2丁目1-33
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